トータル・プロデューサー
近藤章浩氏が語る、
CD朗読劇(サウンドスートリー)
誕生のストーリー。
【新世紀への元気プロジェクト】

 振り返ってみると僕たちの時代というのは、競争の時代で、受験競争を始め勝ったか負けたかというところで、様々なことを繰り返してきたわけです。ところが20世紀の終わりごろ、1998年ぐらいだったんですけど、社会もいろいろと変化をし、変わり果て、その競争というものに疲れ果ててしまった。それは大人だけではなく、子供も。これから新しい世紀が来るというのに、いったいどうなってしまうのだろうと思ったんですよ。で、これは元気がなくなってしまったからなのではないかと思い、新しい時代に元気が無いということは悲しいことじゃないですか。そこで、どうしたら元気に成れるのかと考えた。そうして出てきた答えが、元気=自己発見。大人になっても幾つになっても、自分自身を知ることが元気になる秘訣なのではないかと思ったんです。自分を取り戻すこと、自分の中のかけがえのないものを、もう一度感じること。そして生きてきた人生をいつくしむことによって、コレカラの新しい時代を生きていく活力が沸いてくる。そんなことを呼び難いと重い《元気プロジェクト》を作り、仲間に声をかけて『2001年元気の旅』というシリーズCDを制作。その時に知り合った仲間たちと絵本を作ろうという話になり、この「カえるくんのたからもの」が出来たんです。

【なぜ絵本だったのか!?】
 《元気プロジェクト》では音楽を始め様々なアイテムを製作していく、その中のひとつに絵本もあったんです。今の世の中、ゲームやコンピューターなどなど様々映像アイテムがあるけれど、イマジネーションを掻き立てるものが少ない。ところが絵本はイマジネーションを刺激する。それに加えて、絵本というものは分かりやすい言葉で書かれているが、その言葉の奥や行間に深く、そこには哲学がある。これからの時代を生きていくヒントが、絵本の中にはある。という柳田國男さんが書かれたエッセイを、たまたま読みましてね。とにかく今は情報があふれ、それを選びキャッチし、面白いか否かを認識するだけで精一杯で、頭を使わなくなって、考えなくなり、感じるということに対して鈍感になっているとも思うんです。ところが絵本は、鈍感になってしまったと感じるということを、目覚めさせてくれる。絵本に書かれている言葉や、象徴的な絵は素朴なんだけど、素朴だからこそ読むたびに、その時々の自分の心境が反映され、何回読んでも、違う何かを感じることが出来る。それは絵本の中に託されたメッセージが、問題提起という形で存在しているからなんですよね。

【ライブ朗読劇からCDへ】
  元気促進のアイテムの中にライブというのもあったんです。ところが音楽にしても芝居にしても、最近のライブは10〜20代の若い女性たちを対称にしたものばかりで、大人たち、特に男性たちはどこに行ったらいいのかという状況。そこで大人たちがゆったりと楽しめる空間の中で、映像と生の朗読と生の弦楽器を中心とした音楽という朗読ライブをやったら、自分というものが取り戻せるのではないかと思ったんです。もちろんまずは絵本を人の声で朗読し、それを聞いた人がどのように感じ、受け止めるのだろうという興味があり、そこで感じたことと生きていくためのヒント、エネルギーを湧かせるためのきっかけになればと思い、ライブを開催したんです。場所も早稲田にあるリーガロイヤル・ホテルで大人限定、3ヶ月に一回ペースで1年間開催しました。夫婦で出かけられる場所が出来たことに感謝します。夫婦の会話がなくなっていましたが、今日はこのライブのことを話しながら帰れます。アンケートにそんな答えを書いてくれる男性がたくさんいました。そこで場所を提供することによって、それぞれが自分の人生に対して元気を取り戻していく、ものや人とコミュニケーションを再びとり始めようとする、そんなエネルギーを持ち出すということをリアルに感じることが出来たんです。ライブでは朗読劇を味わえる人が、150〜200人と限定されてしまう。そこでライブの朗読劇を、より多くの人に味わってもらいたいと思いCDという形にしてみました。